ふたりの技術と温もり

直火焙煎珈琲と自家製アイスクリームのVIデザインを担当しました。

01. 背景と課題

ご夫妻の人柄と、長年の技術が素朴に伝わる佇まいを目指して

ご夫婦のセカンドライフの夢として立ち上げられた「こば珈琲」。ロイヤルで長年務められた後に一から珈琲の探求を始められたご主人の「自家焙煎・ネルドリップ珈琲」と、同社のスイーツ部門で腕を振るわれた奥様の手がける「自家製アイスクリーム・スイーツ」が主役のお店です。近年のモダンなトレンドを追うのではなく、ご年配のオーナー夫婦の温かな人柄が浮かび上がる、どこか懐かしく渋みのある喫茶店らしさを目指しました。

02. 思考と検証

サードウェーブのトーンを避け、ふたつの看板商品を同居させる造形を探求するく

サードウェーブに代表される今風で無機質なデザインをあえて避け、長年地域で愛されるような親しみやすさを模索しました。課題となったのは、相反する「珈琲(男性性・ネルドリップ)」と「スイーツ(女性性・アイスクリーム)」というふたつの主役をいかにひとつのビジュアルで表現するかです。複雑なイラスト表現から極限まで削ぎ落とした抽象図形まで、あらゆる組み合わせを比較検討しました。

03. コアの発見


ご夫妻の姿を写す「○・□」の幾何学と、物語を宿すオリジナルタイポグラフィ

タイポグラフィ:
シンボルの直線・曲線の幾何学的なラインに呼応するよう、オリジナルのロゴタイプを設計。「ば」の濁点にはコーヒーや溶けるアイスクリームの「雫」を模した造形を取り入れ、文字の中にもお店のアイデンティティをひっそりと宿しています。

エンブレム&シンボル:
女性的な「◯(アイス)」と男性的な「□(珈琲)」を重ね合わせ、マグカップのシルエットを形成。二つの看板商品の融合と、寄り添うご夫婦の仲睦まじさを表す造形として構築しました。

グラフィック&モチーフ:
店舗入口の特徴的なアーチ型間口に着目し、その曲線をショップカードやプライスカードの上部形状に抽出。さらに素朴なタッチのオリジナルイラストを展開し、空間とツールが一体となる世界観を定義しています。
04. 各種展開

店舗入り口のアーチ構造とタトウ型ギフトパッケージ

店舗入口の特徴的なアーチ型間口に着目し、その曲線をショップカードやプライスカードの上部形状に抽出。さらに素朴なタッチのオリジナルイラストを展開し、空間とツールが一体となる世界観を定義しています。

限られた予算の中で生まれたのが、構造の工夫によるギフトパッケージです。一枚の厚紙の片面にモノクロ印刷でメッセージを配し、三つ折りにした両端を銅色のホッチキスで留める「タトウ風」の構造を考案。中にはドリップバッグが5個納まり、仕上げのオリジナルシールで固定します。低コストでありながら温かみのある工夫とイラスト入りのドリップバッグは、お店の人気商品となっています。